
小規模事業者持続化補助金 補助事業者向け 実績報告ガイド
この記事について
「補助事業が無事に終わった。あとは報告書を出すだけ」――そう思っていたら、事務局から差戻しが何度も来て期限ギリギリになった、という声が後を絶ちません。実績報告は「終わったから出すだけ」ではなく、補助金が振り込まれるかどうかの最終関門です。事業完了日から30日以内、または提出期限のいずれか早い日までに、必要書類を漏れなく整えて提出する必要があり、書類が揃わなければ採択されていても補助金は交付されません。
本ガイドでは、実績報告書(様式第8)の書き方と、添付すべき経費区分ごとの証拠書類(見積書・発注書・納品書・検収書・請求書・銀行振込明細・通帳コピー等)の整え方を体系的に整理しました。事務局からの差戻しで特に多い「振込人名義の不一致」「通帳コピーの抜け」「品名が曖昧」の3点に対する具体的な対処法、そして提出後の確定検査 → 額の確定通知 → 精算払請求までの流れを順を追って説明しています。賃金引上げ特例・インボイス特例を申請した方向けの追加対応も扱っています。
公式の手引きは情報量が多く、提出期限直前にあわてて読み解こうとすると間に合いません。「事業完了が見えてきた時点で全体像をつかみ、必要書類を計画的に集めたい」という方に向けて、このガイドを上から順に読めばやるべきことがひと通りわかる構成にしています。
または下の日付のいずれか早い日
実績報告の全体像
実績報告は、採択後の手続きの中で 第6ステップ にあたります。補助事業が完了したら必ず実施しなければならない、義務的なプロセスです。提出後は事務局による確定検査が行われ、その後「額の確定通知 → 精算払請求」と続いて、はじめて補助金が振り込まれます。まずは全体の流れを押さえましょう。
提出書類一覧 ― まず揃えるもの
| # | 書類名 | 様式 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 1 | 実績報告書 | 様式第8 | 押印後にPDF化して提出 |
| 2 | 補助事業実績報告書(記述本体) | 様式第8 別紙1 | 事業の実施内容・効果を記述 |
| 3 | 経費支出管理表 | 様式第8 別紙3(前半) | 取引1件ごとに支出を一覧化 |
| 4 | 支出内訳書 | 様式第8 別紙3(後半) | 経費区分ごとの合計・補助対象額・補助金額 |
| 5 | 補助対象経費の証拠書類一式 | ― | Chapter 3で詳述 |
| 6 | 提出書類チェックリスト | 事務局指定 | 提出前の自己点検+同梱 |
| 該当ケース | 書類名 | 様式 |
|---|---|---|
| 単価50万円(税抜)以上の財産を取得した場合 ※1 | 取得財産等管理台帳/明細表 | 様式第11-1/11-2 |
| 補助事業によって直接的に収益が発生した場合 ※2 | 収益納付に係る報告書 | 様式第8 別紙4 |
| 賃金引上げ枠(特例)で採択された場合 | 実施報告書+賃金台帳+労働条件通知書 | 様式第8 別紙5 ほか |
| 賃上げ加点(赤字賃上げ加点)で申請した場合 | 実施報告書+賃金台帳 | 様式第8 別紙5 ほか |
| インボイス特例で採択された場合 ※3 | 適格請求書発行事業者登録通知書の写し | ― |
※1 単価50万円(税抜)以上の機械装置・設備・ECサイト等は「処分制限財産」に該当。補助金受領後も一定期間、処分(売却・廃棄・転用)が制限されます。
※2 補助事業で生じた収益が補助金額を超える場合、超過分の一部を国庫に納付する義務があります。実績報告時に該当見込みがある場合に提出。
※3 免税→課税事業者へ転換し、適格請求書発行事業者として登録した証明として登録通知書の写し(T+13桁)を提出します。
証拠書類の集め方 ― 1経費=5点セット
経費(取引)1件につき、以下の書類を漏れなく揃えるのが大原則です。
- 税抜 10万円超 の支払いは 銀行振込が必須(現金払いはNG)
- 振込明細書 + 通帳コピー の両方 が必要(どちらか一方のみは不可)
- 振込人名義は 申請事業者名と完全一致(「株式会社」省略・屋号と法人格の混在はNG)
- 振込元の口座も、請求書の振込指示と一致していること
- 振込手数料は自社負担(補助対象外)
| 経費区分 | 特に注意するポイント |
|---|---|
| ① 機械装置等費 | 50万円以上は 処分制限財産。設置場所・型番のわかる写真を必ず撮影 |
| ② 広報費 | 補助事業期間中に配布が完了したものだけが対象。①現物、②配布先リスト(日付・場所・部数)、③配布完了報告書(写真含む)が必要。業者利用の場合は納品報告書も必要 |
| ③ ウェブサイト関連費 | 補助金交付申請額の 1/4が上限(最大50万円)。公開URLとスクショ必須 |
| ④ 展示会等出展費 | 出展契約書・ブース写真・配布資料が必要 |
| ⑤ 旅費 | 出張旅費明細書(兼出張報告書)・インターネット路線検索画面(料金表)・領収書(交通費・宿泊費) |
| ⑥ 開発費 | 試作品の写真・図面。外注の場合は仕様書も |
| ⑦ 資料購入費 | 業務との関連説明・現物保管(処分前に提出) |
| ⑧ 雑役務費 | 業務日報・労働条件通知書・支払根拠 |
| ⑨ 借料 | 賃貸借契約書/利用期間が補助事業期間内であること |
| ⑩ 設備処分費 | 廃棄証明書・写真(廃棄前後) |
| ⑪ 委託・外注費 | 契約書・成果物・知的財産の帰属確認 |
写真は 「補助事業を実施したことの証拠」 として確定検査で必ず確認されます。後から撮り直しができないものも多いため、実施中に計画的に撮影しましょう。
| 対象 | 撮影すべき内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 機械装置・設備 | ①設置前の現場 ②搬入・設置中 ③設置完了後の全景 ④型番・製造番号がわかる接写 | 型番・製造番号が読み取れない写真は差戻し対象。50万円以上は現物確認の対象 |
| 店舗改装・工事 | ①ビフォー(工事前の同じ角度)②工事中 ③アフター(ビフォーと同じ角度・画角) | 工事前の写真がないと改装の実施自体を証明できず、差戻しまたは補助対象外になります。着工前に必ず撮影してください。 |
| 広告物・印刷物 | ①現物の表裏を平置き ②配布風景 ③配布先リスト(場所・日付・部数) | 在庫として残った分は対象外。配布完了が分かるよう撮影 |
| ウェブサイト・EC | ①URLバーが見えるトップページ全画面スクショ ②主要ページのスクショ ③公開URL | 未公開・テスト環境は不可。必ず公開後に撮影 |
| 展示会・イベント | ①ブースの全景 ②出展中の様子 ③配布資料 | 出展契約書・領収書とセットで保管 |
| 試作品・開発成果物 | ①試作段階の写真(複数段階) ②完成品(複数アングル) ③図面・仕様書 | 外注の場合は外注先からの納品報告書も必要 |
経費支出管理表・支出内訳書の書き方
| 書類 | 役割 |
|---|---|
| 経費支出管理表 | 取引1件ごとに相手先・金額・支払日を一覧化(証憑との突合用) |
| 支出内訳書 | 経費区分ごとに 合計 を集計し、補助対象経費・補助金額を確定 |
経費支出管理表の行番号と必ず一致させてください。
書類番号は手引きの[1]〜[6]に対応しています:[1]見積書 / [2]発注書 / [3]納品書 / [4]請求書 / [5]振込明細・通帳 / [6]成果物等
例)機械装置費(1件目):
01-1_見積書.pdf
01-2_発注書.pdf
01-3_納品書.pdf
01-4_請求書.pdf
01-5_振込明細_通帳.pdf
01-6_設置写真.pdf広報費(2件目)なら
02-1_見積書.pdf から始めます。
| ❌ よくあるミス | ✅ 正しい書き方 |
|---|---|
| 「広告費 一式 300,000円」 | 「チラシ印刷(A4両面15,000部)200,000円/チラシデザイン制作費 100,000円」 |
| 取引日=請求書日付で記載 | 取引日=振込日(通帳の記帳日) |
| 税込額のみ記載 | 税抜・消費税・税込の3つを必ず記載 |
| 通し番号と証憑ファイル名が不一致 | 「01-1_見積書.pdf」のように経費番号+書類番号[1〜6]で統一(経費支出管理表の行番号と対応) |
実績報告書 本文(様式第8 別紙1)の書き方
- 補助事業者情報
- 補助事業期間
- 交付決定額
- 実績報告日
- 押印が必要
- 押印後にPDF化(300dpi)
| パート | 書く内容 | 文字数目安 |
|---|---|---|
| ① 補助事業の取組内容 | 計画書(様式第2)に対し、実際に何をやったかを時系列で記述 | 600〜1,000字 |
| ② 補助事業の効果・成果 | 数値(売上・客数・新規顧客数等)で成果を提示 | 400〜800字 |
| ③ 今後の展望 | 補助事業終了後の継続的な取組予定 | 200〜400字 |
- 計画書(様式第2)と 経費区分・経費名称が大きく変わっていないか
- やむを得ない変更があった場合は 計画変更承認申請(事前手続き) を経ているか
- 数値目標を立てていた場合は、達成・未達のいずれでも 実績値を必ず記載
| ❌ NG例(情緒的・抽象的) | ✅ OK例(数値・具体的) |
|---|---|
| 「効果が出た」「お客様に喜ばれた」 | 「来店客数が前年同月比+15%(350→403人)」 |
| 「順調に売上は伸びている」 | 「2026年Q1売上 320万円(前年同期 280万円、+14.3%)」 |
| 「補助事業のおかげで…」 | 「補助事業で導入した○○により、作業時間を1日2時間→30分に短縮」 |
よくある差戻し・不備 TOP10
事務局からの差戻しは1回ではなく、修正内容が不十分だと複数回発生することもあります。提出期限は変わらないため、初回提出は早めに行うのが鉄則です。
賃金引上げ特例・賃上げ加点・インボイス特例の追加対応
下記の特例・加点で採択・申請された方は、実績報告時に 追加の対応・書類 が必要です。
賃金を引き上げる
(賃金台帳等)
別紙5を提出
引き上げたか?
補助率アップ維持
全額が交付されない
賃金引上げの要件(確認ポイント)
- 補助事業の終了時点で、事業場内最低賃金が申請時より +50円以上
- 申請時点・終了時点ともに地域別最低賃金以上であること
- 要件未達の場合は 補助金全額が交付されない
- 従業員が退職等で要件を満たせなくなった場合は、直ちに補助金事務局へ相談
- 従業員がいない事業者は本特例の対象外
賃上げ加点は採択枠ではなく申請時の加点項目ですが、交付規程により実績報告時に別紙5の提出が必要です(様式第8(6)の注記)。
賃上げ加点の要件(確認ポイント)
- 補助事業の終了時点で、事業場内最低賃金が申請時より +30円以上(特例の+50円とは異なる点に注意)
- 別紙5の「該当する申請」欄で 「賃上げ加点」に○ を付けて提出する
- 申請時・終了時の事業場内最低賃金を賃金台帳から確認のうえ記載する
- +30円未満の場合は補助金が交付されない(別紙5 ※2)
事業者への転換
(T+13桁)
正しく発行する
登録通知書を提出
インボイス特例の確認事項
| 確認事項 | ポイント |
|---|---|
| 登録番号 | 国税庁インボイスポータルで取得・確認(T+13桁) |
| 請求書の記載 | 登録番号・消費税額・適用税率の記載が必要 |
| 申告の変更 | 消費税の確定申告が必要になる(税理士への相談推奨) |
申請システムでの提出 〜 補助金受領まで
通常の提出フローへ進んでください。
→ Step 8-2 へ
修正対応が必要です。差戻し理由を確認してください。
→ Step 8-3 へ
メールを受信
差戻し理由を確認
修正・追加
修正ファイルを添付
再送信
| 段階 | 主体 | 内容 |
|---|---|---|
| 確定検査 | 事務局 | 提出書類を精査。追加質問・現地確認の場合あり |
| 額の確定通知 | 事務局 → 補助事業者 | 補助金交付額が正式に決定 |
| 精算払請求書(様式第10) | 補助事業者 → 事務局 | 振込先口座を指定して請求 |
| 振込 | 事務局 → 補助事業者 | 指定口座へ補助金が入金(精算払) |
- 取得財産(50万円以上)の処分制限
- 事業効果報告の提出(毎年度)
- 帳簿・証憑書類の5年間保管
本資料は第18回公募の公式資料(公募要領・補助事業の手引き・交付規程・FAQ・様式第8 記入例)をもとに作成しています。第17回・第19回の日程は各回公募要領を参照しています。最新情報は必ず公式資料をご確認ください。

