補助金と助成金の違いとは?事例とともに解説【2024年版】

補助金と助成金の違いとは?事例と共に解説【2024年版】

本記事では、補助金と助成金の違いを解説するとともに、それぞれの代表的な制度について、事例を交えてまとめています。2024年度の最新情報をまとめて知りたい人も、ぜひご活用ください。

<目次>
補助金と助成金の違い
補助金とは
・受給までの流れ
・補助金にはどんなものがある?
例1)ものづくり補助金
例2)小規模事業者持続化補助金
例3)IT導入補助金(2023年度)
例4)事業再構築補助金
助成金とは
・助成金受給までの流れ
・助成金にはどんなものがある?
例)キャリアアップ助成金 正社員化コース
まとめ

補助金と助成金の違い

補助金も助成金も、国や地方公共団体(民間の団体でおこなっているものもあります)から支給され、原則は返済不要です。

「助成金」や「補助金」という言葉は必ずしも明確に区別されていない場合があります。例えば経済産業省が所管している「助成金」の中には、「補助金」の色合いが強いものもあります

補助金は予算が決まっており、申請時に事業計画書を提出しその内容により審査を受けるため、申請しても採択とならない可能性もありますが、助成金は、要件さえ満たせば原則は受給できるため、補助金よりもハードルが低いといえます。

期間内に応募して採択されると支給されます。応募のための書類や事業計画書など様々な材料が審査対象とされ、期間内に応募しても審査を通らない場合も多くあります。

受給までの流れ

実際に補助金が入金されるまでの大まかな流れはこちらです。

募集期間は数週間から1カ月程度であるケースがほとんどなので、いつの間にか募集期間が終わっていた…となってしまわないよう、こまめに情報をチェックしましょう。

補助金受給までの流れ

補助金にはどんなものがある?

例1)ものづくり補助金

ものづくり補助金は、主に中小企業・小規模事業者を対象として、生産性向上のための設備投資を支援する制度です。

現在、中小企業などの小規模事業者は、働き方改革や賃上げ、インボイス導入などの制度変更に直面しています。それらに対応するために革新的なサービスの開発、試作品開発、生産プロセスの改善などを実施する企業を支援することがものづくり補助金の目的です。

対象となる経費には「機械装置・システム構築費」や「運搬費」をはじめ、「クラウドサービス利用費」なども含まれます。

ものづくり補助金の対象となる主な経費

具体例として以下のような活用例があります。

・「食べられるクッキー生地のコーヒーカップ」の製造機械を新たに導入する(機械装置・システム構築費)
・「デリバリーロボット」を活用してホテル運営業務のサービス品質を向上させる(機械装置・システム構築費)
・「クラウド管理システム」による部門間連携でリソースの最適化を図る(機械装置・システム構築費)

 

ものづくり補助金は、主に3つの枠に分かれます。それぞれの補助上限や補助率は以下の通りです。

枠・類型

補助上限(最大)

※カッコ内は大幅賃上げをおこなう場合

補助率
省力化(オーダーメイド)枠8,000万円(1億円)

中小企業 1/2 ※

小規模・再生 2/3 ※

※補助金額1,500万円までは1/2もしくは2/3、1,500万円を超える部分は1/3

製品・サービス高付加価値化枠(通常類型)1,250万円(2,250万円)

中小企業 1/2

小規模・再生 2/3

新型コロナ回復加速化特例2/3

製品・サービス高付加価値化枠(成長分野進出類型(DX・GX))2,500万円(3,500万円)2/3
グローバル枠3,000万円(4,000万円)

中小企業 1/2

小規模 2/3

なお、ものづくり補助金は、取組内容の革新性や事業実施体制などさまざまな観点から審査され、加点要素としては「成長性加点」「政策加点」「災害等加点」「賃上げ加点等」があります。
これらの項目を満たす場合、審査員がプラスにしやすいよう、申請書類にしっかりとアピールすることが重要となります。

例2)小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、従業員数が20人以下(宿泊・娯楽業以外の商業・サービス業は5人以下)の小規模な事業者(個人事業主含む)の販路開拓や生産性向上の取り組みに要した経費の一部を支援する補助金です。

後述する「事業再構築補助金」や「ものづくり補助金」などよりも補助上限は低額ではあるものの、比較的要件がシンプルかつ採択率がやや高いため、小規模な事業者や創業期の事業者、個人事業主も使いやすい制度となっています。

例えば、テイクアウトなどのオンラインサービスを始めたい、オンライン販売に向けてECサイトを開設・サイトをPRしたい、といった目的の小規模事業者が補助金を活用できる制度となっています。

2024年度小規模事業者持続化補助金の類型(一般型)

小規模事業者補助金の類型(一般型)

補助率は基本的に3分の2(「賃金引上げ枠」のうち赤字事業者は4分の3)で、上限は「通常枠」で50万円、その他の枠「賃金引上げ枠」「卒業枠」「後継者支援枠」「創業枠」で200万円となっています。

対象となる経費は基本的に、「広報費」と「機械装置等費」がメインとなります。(詳しくはこちら「5分で理解!持続化補助金(小規模事業者持続化補助金)とは?事例でポイント解説」

対象となる経費の一例

例3)IT導入補助金

「IT導入補助金」とは、中小企業や小規模事業者、個人事業主がITツール(ソフトウェア)を導入する際の費用の一部をサポートする補助金です。
業務効率化を図り、生産性の向上を支援するために設けられました。
飲食宿泊運輸小売卸・製造業建設業等、幅広い業種にて活用されています。

そんなIT導入補助金は、ソフトウェアだけでなく、枠によってはPC・タブレット・レジ・発券機といったハードウェアの導入費用も支援されます。(以下、具体例)

  • 受発注ソフト
  • 決済ツール
  • 会計ソフト
  • セキュリティ対策ソフト
  • POSレジ、モバイルPOSレジ、券売機
  • PC、タブレット、プリンター、スキャナー、複合機

また、IT導入補助金の枠は以下です。

・通常枠
・インボイス枠
・複数社連携IT導入類型
・セキュリティ対策推進枠

上記の「インボイス枠」は、会計・受発注・決済といった機能のソフトに加え、PC・タブレット・レジ・発券機といったハードウェア導入費用をも支援する「インボイス対応類型」と、取引関係における発注者が、インボイス対応のITツール(受発注ソフト)を導入し、受注者である中小企業・小規模事業者などに対し無償で利用させる場合を対象とした「電子取引類型」に分かれています。

申請する枠や内容によって異なりますが、補助額は5万円から最大で450万円で、補助率は2分の1〜4分の3です。

なお、IT導入補助金の申請においては、「IT導入支援事業者」を通す必要があるという点に留意しましょう。申請する際には、まず導入したいITツール(ソフトウェア)を取り扱っている、IT導入支援事業者を探すことから始めます。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。

例4)事業再構築補助金

事業再構築補助金は中小企業と中堅企業を対象に支援する制度です。
新分野展開や業態転換、事業・業種転換、事業再編など、思い切った挑戦をおこなった企業や団体を幅広く支援します。

補助上限は基本的に100万円以上で、従業員数が多くなると7,000万〜8,000万円(成長枠、グリーン成長枠)になることもあります。支援内容の詳細は以下の通りです。(第11回公募時点)

対象企業

補助額

補助率

成長枠

100万円〜7,000万円

中小企業者等1/2

中堅企業等1/3

グリーン成長枠(エントリー)

100万円〜1億円

中小企業者等1/2

中堅企業等1/3

グリーン成長枠(スタンダード)

100万円〜1.5億円

中小企業者等1/2

中堅企業等1/3

卒業促進枠

成長枠・グリーン成長枠の補助金額上限に準じる

中小企業者等1/2

中堅企業等1/3

大規模賃金引上促進枠

100万円~3,000万円

中小企業者等1/2

中堅企業等1/3

産業構造転換枠

100万円〜7,000万円(※廃業を伴う場合、廃業費を最大2,000万円上乗せ)

中小企業者等2/3

中堅企業等1/2

最低賃金枠

100万円〜1,500万円

中小企業者等3/4

中堅企業等2/3

物価高騰対策・回復再生応援枠

100万円〜3,000万円

中小企業者等2/3

中堅企業等1/2

補助対象となる主な経費は以下です。(一部の経費には制限あり)

  • 建物費、機械装置・システム構築費(リース料含む)、クラウドサービス利用費
  • 外注費、研修費、技術導入費用
  • 広告宣伝・販売促進費

事業再構築補助金の活用例としては以下のようなものがあります。

  • オンラインヨガ教室の運営をスタートするためのシステム構築費
  • 菓子製造業が、より高クオリティかつ日持ちのする新商品を作るために必要な、真空包装機や急速冷凍機の購入費用
  • 飲食店が、オンライン専用の弁当宅配事業をスタートするための、店舗縮小にかかる建物改修費用

補助金は公募ごとに制度が変更されることがあります。特に年度が替わると大きく制度が変更されることが多いため、必ず最新の公募要領を確認してください。

補助金のような事前審査がなく、要件を満たせば基本的に助成を受けられるのが特長です。ただし、申請書類や添付書類の確認で要件を満たしていないと判断されれば「不支給」の通知が届くこともあります。

受給条件を満たし申請ができるまで時間がかかる(1年~3年)こともありますので、ご注意ください。

助成金受給までの流れ

以下、代表的な助成金の申請の流れとなります。 

助成金受給までの流れ

助成金にはどんなものがある?

「人材開発支援助成金」や「両立支援助成金」など非常に多岐にわたりますが、今回は「助成金」の中でも、「補助金」の色合いが強いキャリアアップ補助金をご紹介いたします。

例)キャリアアップ助成金 正社員化コース

「キャリアアップ助成金 正社員化コース」は、事業主に対して、有期雇用労働者等を正規労働者に転換した場合に国から支給される、年間10万人以上が利用している助成金です。

支給対象となる事業主

以下に該当する事業主が対象です。

(1)雇用保険適用事業所の事業主
(2)雇用保険適用事業所ごとにキャリアアップ管理者を置いている事業主
(3)雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者にかかるキャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けた事業主
(4)実施するコースの対象労働者の労働条件、勤務状況および賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備し、賃金の算出方法を明らかにすることができる事業主
(5)キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主

(出典:厚生労働省|キャリアアップ助成金のご案内(令和5年度版)

有期契約労働者等を正規雇用労働者等に転換した場合、下記の表のように助成金が支給されます。

会社規模形態の転換支給額
中小企業有期→正規80万円
無期→正規40万円
大企業有期→正規60万円
無期→正規30万円

また、1人当たりの加算額は以下の通りです。

措置内容

有期雇用労働者

無期雇用労働者

① 派遣労働者を派遣先で正社員として直接雇用する場合

28万5,000円

② 対象者が母子家庭の母等または父子家庭の父の場合

9万5,000円

4万7,500円

③ 人材開発支援助成金の訓練修了後に正社員化した場合

9万5,000円

4万7,500円

④ ③のうち、自発的職業能力開発訓練または定額制の訓練修了後に正社員化した場合

11万

5万5,000円

⑤ 正社員転換等制度を新たに規定し、当該雇用区分に転換等した場合

1事業所当たり20万円(大企業は15万円)

⑥ 多様な正社員制度(勤務地限定・職務限定・短時間正社員いずれか1つ以上)を新たに規定し、当該雇用区分に転換等した場合

1事業所当たり40万円(大企業は30万円)

(出典:厚生労働省|キャリアアップ助成金のご案内(令和6年度予定版)

新たな事業へのチャレンジや思い切った事業拡大という、企業の発展に向けた積極的な取り組みを支えてくれるのが、補助金や助成金。種類によっては何十〜何百万円もの金銭的なサポートを受けられるため、積極的に使いたいところです。

しかしこれらの申請には、事業計画や経理状況を確認するための書類等の準備が必要になることも多く、細々とした事務処理を要します。
自力でやろうとするものの、その煩雑さに申請を諦めてしまう人が多いのが現状です。

株式会社樫乃屋では、補助金や助成金申請に幅広く対応しているので、申請しようとしている補助金や助成金が本当に適切なのか相談したい、というゼロベースから完全サポートいたします。

補助金や助成金を賢く活用して、企業を着実に成長させていきましょう。