2024年度最新版!中小企業におすすめの補助金の情報まとめ

中小企業が活用できる主な補助金について、2024年度(2024年2月末現在)最新の情報を1つにまとめました。

「小規模事業者持続化補助金」や「事業再構築補助金」など、全部で4つの補助金の概要や補助上限申請のポイントなどを一気に把握できる内容となっています。ぜひ本記事を参考に補助金申請をご検討ください。

<目次>
小規模事業者持続化補助金
ものづくり補助金
IT導入補助金
事業再構築補助金
まとめ

小規模事業者持続化補助金​

「小規模事業者持続化補助金」とは、従業員数が20人以下(宿泊・娯楽業以外の商業・サービス業は5人以下)の小規模な事業者(個人事業主含む)の販路開拓や生産性向上の取り組みに要した経費の一部を支援する補助金です。

後述する「事業再構築補助金」や「ものづくり補助金」などよりも補助上限は低額ではあるものの、比較的要件がシンプルかつ採択率がやや高いため、小規模な事業者や創業期の事業者、個人事業主も使いやすい制度となっています。補助対象経費としては、機械装置費広報費ウェブサイト関連費展示会出展費などが挙げられます。

具体的には、飲食業の場合、新しくテイクアウトを始めるための費用や、オンライン販売に向けてECサイトを開設したりPRしたりする費用に、食品製造業の場合は業務効率化を図る機械の購入費用などに利用できます。(くわしくはこちら「5分で理解!持続化補助金(小規模事業者持続化補助金)とは?事例でポイント解説」)

申請枠と補助上限

申請枠は「通常枠」のほか、「賃金引上げ枠」や「卒業枠」などの特別枠があり、全部で5つとなっています。

特別枠それぞれの申請要件は以下です。(第15回公募より)

  1. 賃金引上げ枠:事業場内最低賃金を地域別最低賃金より+50円以上とした事業者
  2. 卒業枠:小規模事業者として定義する従業員数を超えて規模を拡大する事業者
  3. 後継者支援枠:アトツギ甲子園のファイナリスト等となった事業者
  4. 創業枠:過去3年以内に「特定創業支援事業」による支援を受け創業した事業者

補助率は基本的に3分の2「賃金引上げ枠」のうち赤字事業者は4分の3)で、上限は「通常枠」で50万円、その他の枠「賃金引上げ枠」「卒業枠」「後継者支援枠」「創業枠」で200万円となっています。

また、上記のほか、免税事業者のうち適格請求書発行事業者の登録を受けた小規模事業者に一律適用される「インボイス特例」もあります。

インボイス特例:免税事業者から適格請求書発行事業者に転換する小規模事業者に対し補助上限額を一律50万円上乗せ

スケジュール

約3ヶ月おきに設定され、年に合計4回の募集がおこなわれています。

※詳細は、事務局HPに掲載の公募要領をご確認ください。

ものづくり補助金

「ものづくり補助金」は、新サービスや試作品の開発、生産性向上の取り組みに要した経費の一部を支援する補助金で、中小企業はもちろん、個人事業主も利用できる補助金の1つです。

“ものづくり”という名称から製造業向けのような印象がありますが、製造業だけでなく小売業やサービス業、さまざまな業種で活用できます。
補助対象経費としては、機械装置工具器具購入費専用ソフトウェア情報システムの購入・構築費試作品に要した原材料費などがあります。

具体的には、菓子小売業の場合、既存商品の小型化・小分け需要に応える新たな機器導入に要した費用に、飲食店の場合、業務効率化のためのロボット導入費用に利用できます。学習塾にて非対面授業を実現するためのeラーニングシステム構築費用なども対象です。

申請枠と補助上限

申請枠は全部で3つ設けられています。(第17回公募より)

  • 省力化(オーダーメイド)枠
  • 製品・サービス高付加価値化枠
  • グローバル枠

上記の「製品・サービス高付加価値化枠」は、枠の中でもさらに「通常類型」と、今後成長が見込まれる分野(DX・GX)に資する取り組みを支援する「成長分野進出類型(DX・GX)」に分かれています。

取組内容の革新性や事業実施体制などさまざまな観点から審査され、加点要素としては「成長性加点」「政策加点」「災害等加点」「賃上げ加点等」があります。

これらの項目を満たす場合、審査員がプラスにしやすいよう、申請書類にしっかりとアピールしましょう。同じ審査評価の事業計画書の場合、加点項目を取得している方が採択につながりやすい傾向にあるため、加点項目の取得は非常に重要です。

成長性加点・・・中小企業等経営強化法に基づく「経営革新計画」を立て、承認を得る

政策加点・・・創業・第二創業後間もない(5年以内)事業者であること、パートナーシップ構築宣言をおこなう 等

災害等加点・・・防災・減災の事前対策に関する計画「事業継続力強化計画」を立て、認定を取得する

賃上げ加点等・・・事業計画期間における給与支給総額と事業場内最低賃金を規定の額まで上げる

補助率は「製品・サービス高付加価値化枠」の「成長分野進出類型(DX・GX)」で3分の2、それ以外の枠および類型で2分の1(小規模・再生事業者は3分の2)となっており、上限は750万円〜1,250万円、「省力化(オーダーメイド)枠」だと最大8,000万円(大幅賃上げをおこなう場合は1億円)にまで上ります。

スケジュール

これまで約3ヶ月おき、年に合計4回の募集がおこなわれています。今後もその傾向は続きそうです。

※詳細は、事務局HPに掲載の公募要領をご確認ください。

IT導入補助金

「IT導入補助金」とは、中小企業や小規模事業者、個人事業主がITツール(ソフトウェア)を導入する際の費用の一部をサポートする補助金です。パッケージソフトの本体そのものの費用、クラウドサービスの導入・初期費用などを対象としています。
日々のルーティン業務の効率化や、データを集積・活用した顧客獲得など、生産性向上や業務プロセス改善に資する汎用的なITツール(ソフトウェア)導入に活用できます。

IT導入補助金の申請において注意すべきことは、「IT導入支援事業者」を通して申請する必要があるということです。

申請できるITツール(ソフトウェア)もそのIT導入支援事業者ごとに異なっており、例えばソフトウェアに付随する形でハードウェアも申請できる事業者や、会計ソフトだけを扱っていて他のソフトを扱っていない事業者があったり、反対に会計ソフトの中でも一部の会計ソフトだけしか扱っていない事業者があったりと、さまざまです。

したがって申請する際には、まず導入したいITツール(ソフトウェア)を取り扱っている、IT導入支援事業者を探すことから始める必要があります。

こちらから取り扱っているツールや営業エリアなどを選択して調べることができるため、ご活用ください。

実際に申請する際は、そのITツールによってどのように生産向上につながるのか、いかにITツール導入が自社の経営課題解決につながるのかをアピールすることが重要です。

申請枠と補助上限

申請枠は全部で4つ設けられています。

  • 通常枠
  • インボイス枠
  • 複数社連携IT導入類型
  • セキュリティ対策推進枠

なお上記の「インボイス枠」は、会計・受発注・決済といった機能のソフトに加え、PC・タブレット・レジ・発券機といったハードウェア導入費用をも支援する「インボイス対応類型」と、取引関係における発注者が、インボイス対応のITツール(受発注ソフト)を導入し、受注者である中小企業・小規模事業者などに対し無償で利用させる場合を対象とした「電子取引類型」に分かれています。

申請する枠や内容によって異なりますが、補助額は5万円から最大で450万円で、補助率は2分の1〜4分の3です。

スケジュール

枠ごとに締め切りは異なりますが、年に合計10回前後と頻繁に募集をおこなっています。

※詳細は、事務局HPに掲載の公募要領をご確認ください。

事業再構築補助金

「事業再構築補助金」とは、中小企業などの新市場進出(新分野展開、業態転換)、事業・業種転換、事業再編といった思い切った挑戦を支援する補助金です。コロナ禍の2021年に創設されました。
コロナをはじめとするさまざまな影響で、従来のビジネスモデルが通用しなくなり売上低迷に悩む中小企業などが、より成長できる新市場へ進出(新分野展開、業態転換)したり、事業・業種転換、事業再編をしたりといったチャレンジをすることを支援します。

新市場進出・事業転換・業種転換・業態転換・事業再編のいずれかが事業計画内にあることを支援の条件としており、事業に“革新性”が求められるという点で、他の補助金に比べ「事業計画書」の作成により力を入れる必要があると言えるでしょう。

主な補助対象経費には、「建物費」(新事業に必要な事務所建設費用や新製品を作るための建物の改修費など)「機械装置・システム構築費」があります。
「広告宣伝費・販売促進費」(広告作成、媒体掲載、展示会出展など)や「技術導入費」なども対象ではありますが、あくまでそれらは新規事業の成功をサポートするための手段であり、最も重要視されているのは“その会社の資産になるもの”です。つまり、「建物費」や「機械装置・システム構築費」がメインとなります。

具体的には、ドライブレコーダーなどの車載用製品を作る事業者がコロナ禍の影響で経営が不安定となり、今後新たに需要の拡大が見込まれる「医療用ライト」などの医療分野向け製品の製造を開始する場合の建物改修費や機械装置費に、また菓子製造業がより高クオリティかつ日持ちのする新商品を作るために必要な、真空包装機や急速冷凍機の購入費用などに利用できます。

申請枠と補助上限

直近オープンしていた第11回公募では「成長枠」や「物価高騰対策・回復再生応援枠」など、全部で8つの枠が設けられています。補助上限は基本的に100万円以上で、従業員数が多くなると7,000万〜8,000万円(成長枠、グリーン成長枠)になることもあります。

  • 成長枠

かつての「通常枠」に代わり第10回公募にて新設された枠で、成長分野への大胆な事業再構築に取り組む中小企業などを支援するものです。「通常枠」では、コロナ以前に比べ所定の割合分売上高が減少していることを応募要件としていましたが、第10回以降の「成長枠」では同要件を撤廃しています。したがって、売上高が減少している企業でなくても申請可能となりました。

補助対象は、新たに取り組む事業が「過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上拡大する業種・業態」に属する事業です。

  • グリーン成長枠(エントリー)
  • グリーン成長枠(スタンダード)
  • 卒業促進枠

成長枠・グリーン成長枠の補助事業を通して中小企業などから中堅企業などに成長する事業者に対し、補助金額を上乗せして支援する枠です。

  • 大規模賃金引上促進枠

成長枠・グリーン成長枠の補助事業を通して大規模な賃上げに取り組む事業者に対し、補助金額を上乗せして支援する枠です。

  • 産業構造転換枠

「成長枠」と同じく第10回公募にて新設された枠です。

  • 最低賃金枠
  • 物価高騰対策・回復再生応援枠

業績悪化に苦しむ事業者が、経済社会の変化に柔軟に対応した、強い事業へ再構築することを支援するものです。
基本的に補助金は、採択後に交付申請をおこない「交付決定」が出た後でなければ事業を実施することはできませんが、前述した最低賃金枠と本枠の場合、「事前着手申請」をおこなうことで、発注や契約、支払いなどができるようになり、事業を早く進めることが可能となっています。

スケジュール

約3~4ヶ月おきに設定され、年に合計3~4回程度の募集をおこなっています。なお、2024年度の公募は未定です。

※前回公募分の詳細は、事務局HPに掲載の公募要領をご確認ください。

まとめ

中小企業はもちろん個人事業主まで、補助金はあらゆる事業者が利用できます。制度を賢く使って業務効率化や生産性向上をはかり、事業拡大を目指していきましょう。

また、昨今は物価高騰により経営に影響を受けている場合や、小規模企業(※)に当てはまる場合などは、補助率が上がるといった優遇措置を受けられることも。
※常時雇用する従業員数が少ない事業者

各事業者の状況や目的によって適切な補助金は変わってきますが、採択されやすい補助金の選び方自社の強みをアピールするコツを知っておくだけで、補助金申請の成功率はグッと高まります。

株式会社樫乃屋では、これまでの実績に基づく補助金申請に関するアドバイスや提案が可能です。補助金の知識に不安があっても構いません。貴社の状況に合わせたご提案をさせていただきますので、補助金にかかる相談ごとやご不明点はお気軽にご相談ください。