新事業進出・ものづくり商業サービス補助金とは? 対象・補助額・申請条件をやさしく解説

補助金・助成金

【2026年新設】新事業進出・ものづくり商業サービス補助金とは?
対象・補助額・申請条件をやさしく解説

「ものづくり補助金と新事業進出補助金、結局どちらに申請すればいいの?」——そんな声にこたえるように、2026年(令和8年)から2つの制度が1つに統合されました。それが「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」です。

最大9,000万円という大型の設備投資支援でありながら、下限は100万円からと、小規模な取り組みでも申請できるのが特徴です。この記事では、第1回公募要領(公式情報)をもとに、制度のしくみと申請の条件を、はじめての方にもわかりやすく解説します。

この記事でわかること

  • 新制度がどんな補助金で、誰が対象なのか
  • 3つの枠の違いと、いくらもらえるのか(補助額・補助対象経費)
  • 申請に必要な条件(賃上げ・従業員・創業・審査)
  • 申請から入金・報告までのスケジュールと、よくある疑問

なぜ今、この補助金に注目すべきか

近年、人手不足・原材料高・市場の変化など、中小企業を取り巻く環境は大きく動いています。こうしたなかで国が後押ししているのが、「新しい挑戦への設備投資」と「その成果を賃上げにつなげること」です。

本補助金は、従来のものづくり補助金(革新的な製品・サービス開発)と新事業進出補助金(新市場・新事業への進出)を統合・再編したもの。窓口が一本化され、3つの枠から自社に合うものを1つ選んで申請するかたちになりました。海外輸出に取り組む企業向けの「グローバル枠」も、補助率2/3・上限拡大で大きく強化されています。

この補助金をひとことで

項目内容
目的革新的な新製品・サービス開発、新市場・高付加価値事業への進出、海外輸出体制の強化に係る設備投資を支援し、生産性向上と賃上げにつなげる
対象国内に本社・事業実施場所を持つ中小企業者・小規模事業者・特定事業者・NPO・農事組合法人 等
※応募申請の時点で従業員が1名以上いることが必要(従業員0名は全枠で対象外)
特徴3枠から1つを選択/最大9,000万円/機械装置・システム構築費(または建物費)の計上が必須
申請方法電子申請のみ(GビズIDプライムが必須)。代理申請は不可。申請の入口は公式サイトから

3つの枠の違い【一目でわかる比較表】

自社の取り組みが「新製品開発型」「新市場進出型」「輸出強化型」のどれに当たるかで、選ぶ枠が変わります。

① 革新的新製品・サービス枠② 新事業進出枠③ グローバル枠
こんな企業向け革新的な新製品・新サービスの開発新市場・高付加価値事業へ進出製品等の海外輸出に向けた体制強化
補助率1/2
(小規模等 2/3)
1/22/3
補助下限100万円750万円750万円
最大補助額2,500万円
(特例3,500万円)
7,000万円
(特例9,000万円)
7,000万円
(特例9,000万円)
必須経費機械装置・
システム構築費
機械装置・システム
or 建物費
機械装置・システム
or 建物費
創業要件創業直後でも可創業1年以上が必要創業直後でも可
ポイント:どの枠も「単なる設備の入れ替え」では対象になりません。革新性・新規性・付加価値の向上というストーリーが採択のカギです。

それぞれ、こんな事業が対象です(具体例)

① 革新的新製品・サービス枠自社の技術やノウハウを活かして、これまでにない製品・サービスを開発する取り組みが対象です。
(例)金属加工の町工場が独自の加工技術で新しい高機能部品を開発する/飲食店が新しい製法・レシピで新商品ラインを立ち上げる/ITベンダーが自社で新しいサービス・機能を開発する など。

② 新事業進出枠これまでの事業とは異なる「新しい市場・お客様」へ本格的に進出する取り組みが対象です。
(例)部品製造業が自社技術を活かして医療・環境などの新分野へ参入する/小売業が実店舗販売からD2C・サブスクといった新しい業態へ広げる/飲食店が食品加工・EC販売という別事業を立ち上げる など。

③ グローバル枠自社製品の海外輸出に向けて、国内の生産・供給体制を強化する取り組みが対象です。
(例)これまで国内向けだった製品を輸出するため生産ラインを増強する/越境ECや海外展示会出展に向けて国内体制を整える/海外規格に対応するため製品を改良する など。

※上記は理解を助けるための一般例です。実際の対象可否は事業内容により個別に判断されます。とくに②新事業進出枠には「製品の新規性」「市場の新規性」などの細かな要件があります。

いくらもらえる?|従業員数別の補助上限額

補助上限額は、枠と従業員数によって決まります(括弧内は「賃上げ特例」適用時)。

① 革新的新製品・サービス枠

従業員数基本賃上げ特例
1〜5人750万円850万円
6〜20人1,000万円1,250万円
21〜50人1,500万円2,500万円
51人以上2,500万円3,500万円

② 新事業進出枠/③ グローバル枠(補助上限額は共通)

従業員数基本賃上げ特例
20人以下2,500万円3,000万円
21〜50人4,000万円5,000万円
51〜100人5,500万円7,000万円
101人以上7,000万円9,000万円

※「賃上げ特例」は、給与支給総額を年平均+6.0%・事業場内最低賃金を+50円以上とする計画に取り組む場合に上限が上がるしくみ(未達の場合は返還)です。

何に使える?|補助対象経費

設備投資が中心ですが、幅広い経費が対象です(〇=対象/—=対象外)。

補助対象経費(上限)①革新的②進出③グローバル
機械装置・システム構築費(単価10万円〜)必須
建物費(②③はいずれか必須)
運搬費/クラウド利用費/原材料費
技術導入費・知的財産権等(各 総額の1/3)
外注費(1/4)/専門家経費(1/5・1日5万円)
広告宣伝・販売促進費(売上見込みの5%)
海外旅費(総額の1/5・1人最大50万円)
通訳・翻訳費(30万円)
注意:消費税は補助対象外です。汎用パソコン・車両・自社人件費・家賃などは対象外です。発注先の選び方(相見積もり)は下記のとおりです。

発注先の選び方|「相見積もり」は何社必要?「見積合わせ」との違い

補助金では税金が使われるため、発注先を「安く・公正に」選ぶことが求められます。金額によってルールが変わります。

ケース必要な見積もり
1件 50万円(税抜)以上の発注3者以上の「同一条件」の見積もり(相見積もり)が必須。同じ仕様・数量・納期を示して比較し、最も安い業者を選びます。
1件 50万円(税抜)未満の発注3者見積は必須ではありませんが、できるだけ複数の見積もりを取り、最低価格の業者を選ぶ(価格の妥当性を示す)のが原則です。
建物費金額にかかわらず、入札 または 相見積もりが必要です。
中古品の購入3者以上の古物商(古物商許可あり)から、型式・年式が記載された相見積もりが必要です。

「相見積もり」と「見積合わせ」の違い

相見積もり(あいみつ)見積合わせ
意味複数の業者から見積もりを取り、内容・価格を比べること(一般的な言い方)同じ条件を各業者に示して見積もりを出してもらい、最も安い(有利な)業者を選ぶ、競争入札に準じた進め方
補助金での位置づけ「複数の見積もりを取る」こと全般を指します50万円以上で求められる「3者以上の同一条件による見積もり」は、実質的にこの見積合わせにあたります
ポイントは「同一条件」で比べること。仕様や数量がバラバラの見積もりを並べても、公正な比較になりません。また、ペーパーカンパニーや販売実績のない業者事業計画の作成を手伝った支援者・確認書を出した金融機関(およびそのグループ会社)への発注・見積もりは認められません。

申請の条件|満たすべき「基本要件」

補助を受けるには、3〜5年の事業計画で次の要件を満たすことが必要です。

  • 付加価値額:年平均 +4.0%以上 増加(=営業利益+人件費+減価償却費)
  • 賃上げ:1人あたり給与支給総額 年平均 +3.5%以上★未達は返還
  • 事業場内最低賃金:毎年、地域別最低賃金より +30円以上★未達は返還
  • ワークライフバランス全申請者:一般事業主行動計画を「両立支援のひろば」で公表
  • 子育て等の職場環境整備全申請者:3つの取り組み(ライフデザインサービスの活用/育児支援サービスの活用/既存制度の周知)から1つを選んで実施
  • 金融機関の確認書条件つき:金融機関から資金提供(融資)を受ける場合のみ必要(自己資金だけで実施する場合は不要)
どこまでが「全員必須」?
上のうち、付加価値額・賃上げ・事業場内最低賃金・ワークライフバランス・子育て等の職場環境整備は、すべての申請者が対象(必須)です。金融機関の確認書だけは、融資を受ける場合に限って必要になります。
従業員について:応募申請の時点で従業員が1名以上いることが条件です(従業員0名の事業者は全枠で対象外)。

賃上げと最低賃金の目標は「未達だと返還」という強い縛りがあります。無理のない、実現できる計画を立てることが何より大切です。

審査のポイント|口頭審査は「全員」ではありません

審査は書面審査が基本で、事業の適格性・経営戦略との整合性・実現可能性・公的補助の必要性・政策面などが見られます。

口頭審査は全員必須ではありません。一定の審査基準を満たした一部の事業者のみが対象となり、必要に応じて実施されます。対象になった場合はオンライン(約15分)で、申請者ご本人(代表者等)の対応が必須です(コンサルタント等の代理・同席は不可、未受験は不採択)。

また、パートナーシップ構築宣言・くるみん・えるぼし・経営革新計画・DX認定など、14種類の加点項目が用意されています。取得できるものは事前に準備しておくと有利です。

申請〜入金〜報告のスケジュール

  1. 事前準備(〜8月):GビズIDプライム(発行に約1週間)・一般事業主行動計画の公表(1〜2週間)・事業計画づくり
  2. 応募申請:受付 8月31日〜、締切 9月30日(水)18:00 厳守(電子申請)
  3. 審査(10〜11月頃)→ 採択発表(12月頃予定)→ 説明会(参加必須)
  4. 交付申請〜交付決定(採択発表から原則2か月以内)
  5. 事業実施交付決定後に発注(革新的枠=10か月以内/新事業進出・グローバル枠=14か月以内。枠で完了時期が異なります)
  6. 実績報告(完了後30日以内)→ 確定検査 → 補助金の入金
  7. 事業化状況報告:完了の翌年度以降、毎年5年間(計6回)
お金の注意点:補助金は後払い(精算払い)です。事業費はいったん全額を自己資金で立替える必要があります。また、交付決定前の発注・契約・支払いは対象外(全額自己負担)になるため、着手のタイミングにご注意ください。

最新の公募要領・様式・スケジュールの詳細は、公式サイト(新事業進出・ものづくり商業サービス補助金)でご確認ください。

よくあるご質問

Q. 過去にものづくり補助金などを受けていても申請できますか?

A. 条件つきで可能です。ただし、①申請締切(2026/9/30)から16か月以内に「事業再構築・新事業進出・ものづくり・本補助金」で採択された場合、②過去3年間にこれらの交付決定を2回以上受けた場合は対象外です。過去に1回受給していると減点の対象になります。

Q. 代表者や株主が同じ/資本関係のあるグループ会社です。複数社で申請できますか?

A. できません。親会社が議決権50%超を持つ子会社、代表者や住所・主要株主が同じ法人、実質的支配者が同じ法人などは「同一事業者」とみなされ、1回の公募でそのうち1社しか申請できません(複数申請すると全社が不採択)。関連会社への発注が対象外になる場合もあるため、事前の確認が重要です。

Q. 従業員が0名でも申請できますか?

A. できません。応募申請の時点で従業員が1名以上いることが、全枠共通の条件です。

こんな企業におすすめ

新製品・新サービスを開発したい → ① 革新的新製品・サービス枠(下限100万円から・創業直後もOK)
これまでと違う新市場・新事業へ本格的に進出したい → ② 新事業進出枠(建物費も対象・大型投資に対応)
自社製品の海外輸出に挑戦したい → ③ グローバル枠(補助率2/3でおトク・海外旅費も対象)

いずれの枠も、設備投資を軸にした「挑戦」と「賃上げ」を後押しする制度です。

まとめ

  • 「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」は、旧2制度を統合した2026年新設の補助金
  • 3枠から1つを選択。最大9,000万円・下限100万円〜、設備投資が必須
  • 付加価値+4.0%・賃上げ+3.5%・最低賃金+30円などの要件(未達は返還)
  • 後払い・交付決定前の発注NG・口頭審査は一部のみ——ここを外すと不採択・自己負担に
  • 締切は2026年9月30日(水)18:00。GビズIDと事業計画の準備は今すぐ着手を

補助金の活用、樫乃屋がサポートします

「自社はどの枠が最適?」「賃上げ計画は現実的に立てられる?」「過去に補助金を受けたけど申請できる?」——こうしたご相談に、中小企業診断士・ITコンサルタントが対応します。対象要件の確認から、事業計画づくり、経費計画、採択後の報告まで、初回のご相談は無料で伴走いたします。

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※本記事は2026年7月1日時点の第1回公募要領(1.0版)に基づく解説です。制度は改訂される場合があるため、実際の申請前には必ず最新の公募要領・公式サイトをご確認ください。本記事は制度理解を目的とするもので、補助金の採択・支給を保証するものではありません。