1.概要
事業再構築補助金の支給対象となる「事業再構築」とは、下表のとおり①新分野展開、②事業転換、③業種転換、④業態転換又は⑤事業再編の5つの形態に分類されます。そして、5形態毎に、事業者が申請を行うにあたり満たすべき要件が定められています。
事業者にとっては、①→③の順に、より抜本的なビジネスモデルの変革が行われることとなります。また、④については、新たに取り扱うこととなる製品又は商品・サービス自体ではなく、その製造又は提供方法に着目している点が特徴的です。更に、⑤については、①~④のいずれかを遂行するための手段として位置付けられています。
事業者が事業再構築補助金の申請を行うにあたっては、自社が検討するビジネスモデルの変革が、5形態のうちいずれに該当するかをしっかり確認し、それに即した事業計画を作成することが重要です。
2.新分野展開
新分野展開とは、「主たる業種*1又は主たる事業*2を変更することなく、新たな製品を製造し又は新たな商品若しくはサービスを提供することにより、新たな市場に進出すること」を指し、事業者が今まで行ってきた事業の範囲内で新製品を製造したり、新商品や新サービスを提供して、新しい市場に進出することをいいます。
*1: 売上高構成比率の最も高い事業が属する、総務省が定める日本標準産業分類に基づく大分類の産業をいいます。大分類の産業とは、例えば、建設業、製造業、情報通信業、棚卸業・小売業、不動産業・物品賃貸業、宿泊業・飲食サービス業といった区分をいいます。
*2: 売上高構成比率の最も高い事業が属する、総務省が定める日本標準産業分類に基づく中分類、小分類又は細分類の産業をいいます。中分類、小分類又は細分類の産業とは、例えば、大分類である宿泊業・飲食サービス業に属する、飲食店(中分類)のうち、専門料理店(小分類)である日本料理店(細分類)をいいます。
具体的には、総務省の以下HPをご参照下さい。
https://www.soumu.go.jp/toukei_toukatsu/index/seido/sangyo/02toukatsu01_03000023.html
具体的には以下のようなケースが考えられます。
【例1】航空機用部品を製造していた製造事業者が、引き続き航空機用部品の製造を主力としつつ、新たに医療機器部品を製造する場合
【例2】ウィークリーマンションを展開していた不動産賃貸事業者が、ウィークリーマンションの一部をレンタルオフィスに転用する場合
とはいえ、何か新しい取り組みを始めれば、直ちに事業再構築補助金の対象となる新分野展開に該当するわけではなく、以下の3要件全てを満たすことが必要です。
このうち、1番目の「製品等の新規性要件」を満たす上では、以下の内容を事業計画で説明することが要請されます。尚、ここでいう新規性とは、事業者自身の既存製品やサービスとの比較において新規であるかを問われており、今まで世間に存在しなかった革新的な製品やサービスを発明しなければいけないものではありません。
そして、2番目の「市場の新規性要件」を満たす上では、以下の内容を事業計画で説明することが要請されます。
このうち、1番目のポイントである「既存製品等との低い代替性」に関しては、①新製品等を投入する場合であっても、既存製品等の需要自体には大した影響を受けず、新製品等の投入後も既存製品等の売上高が従前と比べて大きく減少しないこと、②むしろ相乗効果により既存製品等の売上高も増大する見込みであることを意味します。
また、2番目のポイントである「新たな顧客層」については、必須の項目ではありませんが、やはり今までとは異なる顧客層を開拓できることを説明できれば、「市場の新規性」を訴求する上での説得力が増すと考えられます。
先ほどの【例1】と【例2】でいえば、以下の内容を事業計画で説明できれば事業再構築補助金の対象となる新分野展開に該当する可能性が高まります。
【例1】航空機用部品を製造していた製造事業者が、医療機器部品の製造を開始する場合
①製品等の新規性要件
・<過去の取扱実績がないこと> 過去に医療機器部品に関する製造実績がない旨
・<主要な設備の変更> 医療機器部品を製造するにあたり、専用の設備を新たに導入する必要性がある旨
・<競合が少ないこと> 同種の航空機用部品を製造している競合他社の多くが、同種の医療機器部品を製造していない旨
・<既存製品等の違い> 医療機器部品と従来製造していた航空機用部品が異なる部品であれば、定量的に性能又は効能(強度や軽さ等)を比較することが難しい旨
②市場の新規性要件
・<既存製品等の低い代替性> 医療機器部品と航空機用部品では、その用途が全く異なり、医療機器部品を新たに製造・販売することによって、航空機用部品の需要が代替され売上が減少することは見込まれない旨
・<新たな顧客層> 医療機器部品の販売先は航空機用部品の販売先とは異なる旨
③売上高10%要件
・3~5年間の事業計画期間終了後、医療機器部品の売上高が総売上高の10%以上を占めるに至る見込みである旨
【例2】ウィークリーマンションを展開していた不動産賃貸事業者が、レンタルオフィスを開始する場合
①製品等の新規性要件
・<過去の取扱実績がないこと> 過去にレンタルオフィスを運営したことがない旨
・<主要な設備の変更> レンタルオフィスを開始するにあたり、元々ウィークリーマンションであった客室の改装やオフィス機器の導入が必要であり、その費用を要する旨
・<競合が少ないこと> 都心部の駅前にビジネス客向けのウィークリーマンションを営んでいる競合他社の多くが、レンタルオフィス業を営んでいない旨
・<既存製品等の違い> ウィークリーマンションとレンタルオフィスでは、提供するサービスの種類が異なり、定量的に性能又は効能を比較することが難しい旨
②市場の新規性要件
・<既存製品等の低い代替性> ウィークリーマンションとレンタルオフィスは、関係性が薄いサービスであり、新たにレンタルオフィスを始めたことで、ウィークリーマンションの需要が代替され売上高が減少するといった影響が見込まれない旨
・<新たな顧客層> ウィークリーマンションとレンタルオフィスの客層が異なる旨
③売上高10%要件
・3~5年間の事業計画期間終了後、レンタルオフィスの売上高が総売上高の10%以上を占めるに至る見込みである旨
3.事業転換の定義及び要件
事業転換とは、「中小企業等が新たな製品を製造し又は新たな商品若しくはサービスを提供することにより、主たる業種を変更することなく、主たる事業を変更すること」を指し、同じ業種の範囲内で主力事業を転換することをいいます。具体的には以下のようなケースが考えられます。
【例3】日本料理店を営む飲食事業者が、焼肉店を新たに開業し、3~5年間の事業計画期間終了時点において、焼肉店の売上高が日本料理店の売上高を上回り最大の稼ぎ頭となる場合
【例4】プレス加工用金型を製造している製造事業者が、新たに産業用ロボット製造事業を開始し、3~5年間の事業計画期間終了時点において、産業用ロボットの売上高がプレス加工用金型の売上高を上回り最大の稼ぎ頭となる場合
そして、このような取り組みが事業再構築補助金の対象となる事業転換に該当するためには、以下の3要件全てを満たすことが必要ですが、1番目と2番目の要件は前述2.の新分野展開とも共通しています。一方、3番目の要件は、従来からの事業の売上高は維持されつつも、新事業が総売上高に占める最大の稼ぎ頭に成長している想定に立つものであり、新分野展開よりも更に進んだものとなります。
尚、1番目と2番目の要件に関して事業計画で説明すべき内容は、前述2.の新分野展開の場合と同様です。
先ほどの【例3】と【例4】でいえば、以下の内容を事業計画で説明できれば事業再構築補助金の対象となる事業転換に該当する可能性が高まります。
【例3】日本料理店を経営していた飲食事業者が、焼肉店を開始する場合
①製品等の新規性要件
・<過去の取扱実績がないこと> 過去に焼肉店を営んだ実績がない旨
・<主要な設備の変更> 焼肉店の開業に当たって、新たに卓上備え付けのロースター等の設備や内装の改装等が必要であり、その費用を要する旨
・<競合が少ないこと> 日本料理店を営んでいる競合他社の多くが、焼肉店を営んでいない旨
・<既存製品等の違い> 日本料理店と焼肉店では、提供する商品が異なり、定量的に性能又は効能を比較することが難しい旨
②市場の新規性要件
・<既存製品等の低い代替性> 日本料理店と焼肉店では、顧客ニーズが全く異なり、焼肉店を新たに開始することによって、日本料理店の需要が代替され売上が減少することは見込まれない旨
・<新たな顧客層> 日本料理店と焼肉店では客層が異なる旨
③売上高構成要件
・3~5年間の事業計画期間終了後、焼肉店の売上高が日本料理店の売上高を上回り最大の売上高に至る見込みである旨
【例4】プレス加工用金型を製造している製造事業者が、新たに産業用ロボット製造事業を開始する場合
①製品等の新規性要件
・<過去の取扱実績がないこと> 過去に産業用ロボットに関する製造実績がない旨
・<主要な設備の変更> 産業用ロボットを製造するにあたり、専用の設備を新たに導入する必要性
・<競合が少ないこと> 同種のプレス加工用金型を製造している競合他社の多くが、同種の産業用ロボットを製造していない旨
・<既存製品等の違い> 産業用ロボットと従来製造していたプレス加工用金型が異なる製品であれば、定量的に性能又は効能(強度や軽さ等)を比較することが難しい旨
②市場の新規性要件
・<既存製品等の低い代替性> 産業用ロボットとプレス加工用金型では、その用途が全く異なり、産業用ロボットを新たに製造・販売することによって、プレス加工用金型の需要が代替され売上が減少することは見込まれない旨
・<新たな顧客層> 産業用ロボットの販売先はプレス加工用金型の販売先とは異なる旨
③売上高構成要件
・3~5年間の事業計画期間終了後、産業用ロボットの売上高がプレス加工用金型の売上高を上回り最大の売上高に至る見込みである旨
4.業種転換の定義及び要件
業種転換とは、「中小企業等が新たな製品を製造し又は新たな商品若しくはサービスを提供することにより、主たる業種を変更すること」を指し、業種を超えて主力事業を転換することをいいます。具体的には以下のようなケースが考えられます。
【例5】レンタカー事業を営む物品賃貸業事業者が、元々所有していた物件を活用して新たに宿泊業に属するホテルを経営し、レンタカー事業と組み合わせた宿泊プランを開始する場合
【例6】生産用機械の製造事業者が、一部の工場を閉鎖し、跡地に新たにデータセンターを建設し製造事業に加えて情報通信業を開始する場合
そして、このような取り組みが事業再構築補助金の対象となる業種転換に該当するためには、前述の事業転換と同様の以下3要件全てを満たすことが必要です。但し、3番目の要件については事業ではなく、業種の売上高が基準になる点で異なります。
先ほどの【例5】と【例6】でいえば、以下の内容を事業計画で説明できれば事業再構築補助金の対象となる業種転換に該当する可能性が高まります。
【例5】レンタカー事業を営む物品賃貸業事業者が、宿泊業に属するホテル経営を開始する場合
①製品等の新規性要件
・<過去の取扱実績がないこと> 過去にホテル事業を営んだ実績がない旨
・<主要な設備の変更> ホテルの開業に当たって、元々保有していた物件の建物改修が必要であり、その費用を要する旨
・<競合が少ないこと> レンタカー事業を営んでいる競合他社の多くが、ホテル経営を行っていない旨
・<既存製品等の違い> レンタカー事業とホテル事業では、提供するサービスが異なり、定量的に性能又は効能を比較することが難しい旨
②市場の新規性要件
・<既存製品等の低い代替性> レンタカー事業とホテル事業は、関係性が薄いサービスであり、新たにホテル事業を始めたことで、レンタカー事業の需要が代替され売上高が減少するといった影響が見込まれず、むしろ相乗効果が見込まれる旨
・<新たな顧客層> ホテル事業の開始により、レンタカー事業単独では獲得が困難であった、新たな客層を開拓できる旨
③売上高構成要件
・3~5年間の事業計画期間終了後、ホテル事業(宿泊業)の売上高がレンタカー事業(物品賃貸業)の売上高を上回り最大の売上高に至る見込みである旨
【例6】生産用機械の製造事業者が、新たに情報通信業に属するデータセンター運営を開始する場合
①製品等の新規性要件
・<過去の取扱実績がないこと> 過去にデータセンター事業を営んだ実績がない旨
・<主要な設備の変更> データセンターの開業に当たって、従来の工場設備の撤去やデータセンターに関する新規設備が必要であり、それらの費用を要する旨
・<競合が少ないこと> 生産用機械の製造事業を営んでいる競合他社の多くが、データセンター運営を行っていない旨
・<既存製品等の違い> 生産用機械とデータセンターでは、提供するサービスが異なり、定量的に性能又は効能を比較することが難しい旨
②市場の新規性要件
・<既存製品等の低い代替性> 生産用機械の製造事業とデータセンター事業は、関係性が薄いサービスであり、新たにデータセンター事業を始めたことで、生産用機械の製造事業の需要が代替され売上高が減少するといった影響が見込まれず、むしろ相乗効果が見込まれる旨
・<新たな顧客層> データセンター事業では、従来の生産用機械の製造事業とは異なりBtoCビジネスとして個人を対象とする旨
③売上高構成要件
・3~5年間の事業計画期間終了後、データセンター事業(情報通信業)の売上高が生産用機械の製造事業(製造業)の売上高を上回り最大の売上高に至る見込みである旨
5.業態転換の定義及び要件
業態転換とは、「製品又は商品若しくはサービスの製造方法又は提供方法を相当程度変更すること」を指します。前述の新分野展開と類似しているものの、製品や商品・サービス自体よりも、その製造方法や提供方法の新規性に着目している点が特徴です。
具体的には以下のようなケースが考えられます。
【例7】ヨガ教室を営むサービス事業者が、実店舗でのヨガ教室は継続しつつ、オンライン専用のヨガ教室を開始する場合
【例8】健康器具を製造している製造事業者が、AI・IoT技術などのデジタル技術を活用して、製造プロセスの省人化を進めるとともに、その結果として削減が見込まれるコストを投じてより付加価値の高い健康器具の製造を開始する場合
そして、このような取り組みが業種転換に該当するためには、以下の3要件全てを満たすことが必要です。尚、2番目の要件に関しては、製造業者とそれ以外で要件が異なります。また、「市場の新規性」要件は特段課されていません。
そして、1番目の「製造方法等の新規性要件」を満たす上では、以下の内容を事業計画で説明することが要請されます。前述2.の「新分野展開」の「製品等の新規性要件」に関する内容と似ていますが、業態転換の場合は「製品又は商品・サービス自体」ではなく、あくまでも「製品の製造方法又は商品・サービスの提供方法」に着目している点にご留意下さい。
先ほどの【例7】と【例8】でいえば、以下の内容を事業計画で説明できれば事業再構築補助金の対象となる新分野展開に該当する可能性が高まります。
【例7】ヨガ教室を営むサービス事業者が、オンライン専用のヨガ教室を開始する場合
①製品方法等の新規性要件
・<過去に同じ方法を用いた取扱実績がないこと> 過去にオンラインレッスンを運営した実績がない旨
・<新たな製造方法等に関して主要な設備の変更> オンライン専用のヨガ教室を開始するために、新たに配信機材等を導入する必要性
・<新たな製造方法等に関して競合が少ないこと> ヨガ教室を営んでいる競合他社の多くが、オンライン専用のヨガ教室サービスを提供していない旨
・<新たな製造方法等の既存製造方法等に対する優位性> 新たに導入した提供方法により、1回当たりの提供コスト等、生産効率が改善する旨
②設備撤去等又はデジタル活用要件
・全店舗の営業を縮小するに際して、既存設備を撤去すること又は非対面化や無人化・省人化を図るために、受付、レッスンの受講や個別指導、パーソナルデータの管理を一貫して行うシステムを活用する旨
③売上高10%要件
・3~5年間の事業計画期間終了後、オンライン専用のヨガ教室の売上高が総売上高の10%以上を占めるに至る見込みである旨
【例8】健康器具を製造している製造事業者が高付加価値製品の製造を開始する場合
①製品方法等の新規性要件
・<過去に同じ方法を用いた取扱実績がないこと> 過去に、今回導入しようとしているAI・IoT技術などのデジタル技術を活用した省人化による方法で、製品を製造した実績がない旨
・<新たな製造方法等に関して主要な設備の変更> 省人化のために、AI・IoT技術などのデジタル技術に関する専用の設備が新たに必要であり、当該設備を導入する必要性
・<新たな製造方法等に関して競合が少ないこと> 同種の健康器具を製造している競合他社の多くが、同種の製造方法によって、製品を製造していない旨
・<新たな製造方法等の既存製造方法等に対する優位性> 新たに導入した提供方法により、1回当たりの提供コスト等、生産効率が改善する旨
②製品の新規性要件 ※①製品方法等の新規性要件と略同様の内容
・<過去の取扱実績がないこと> 過去に新たに製造することとなる健康器具を製造した実績がない旨
・<主要な設備の変更> 過去に、今回導入しようとしているAI・IoT技術などのデジタル技術を活用した省人化による方法で、製品を製造した実績がない旨
・<競合が少ないこと> 同種の健康器具を製造している競合他社の多くが、新たに製造することとなる製品を製造していない旨
・<既存製品等の違い> 新たに製造する健康器具と既存の健康器具との性能(健康効果等)が異なる旨
③売上高10%要件
・3~5年間の事業計画期間終了後、新たな製造方法で製造した健康器具の売上高が総売上高の10%以上を占めるに至る見込みである旨
6.事業再編の定義及び要件
事業再編とは、「会社法上の組織再編行為(合併、会社分割、株式交換、株式移転、事業譲渡)等を行い、新たな事業形態のもとに、新分野展開、事業転換、業種転換又は業態転換のいずれかを行うこと」を指し、前述の新分野展開、事業転換、業種転換又は業態転換を行う手段として、会社の株主構成や法人格の変更を行うということをいいます。
但し、事業再編を行う場合、法律や税務上の影響はもちろん、従業員の処遇にも影響が生じる可能性がありますので、事業再構築補助金の受給のみに留まらず、様々な要素を加味した慎重な判断が必要になります。
7.まとめ
事業者で検討した事業再構築案が、最終的に、①新分野展開、②事業転換、③業種転換、④業種転換のいずれに該当するにせよ、共通して最低限勘案すべきポイントは、以下の4点です。
○過去に実績のない新しい製品又は商品・サービス、若しくは、製造方法又は商品・サービスの提供方法を開始できるか
○事業再構築補助金の補助対象となる、主要な設備の変更(設備投資)を伴うか
○競合他社と差別化を図れる取り組みであるか
○既存の製品又は商品・サービスの売上高を維持しつつ、新しい製品又は商品・サービスで確りと売上高を創出できるか(新しい製品又は商品・サービスにより、新しい顧客層を開拓できるか)
事業者におかれましては、まず、「どのような新しい取り組みを開始するか」「他社との差別化は図れそうか」「新しい取組みを開始しても、既存売上高を減少させることなく、売上高を純増させることが可能か」といった観点から事業再構築に向けた構想を練ることが重要であるといえます。
【参考情報】
事業再構築補助金が通常よりも増額される「中小企業卒業枠」*と「中堅企業グローバルV字回復枠」*の具体的な内容が明らかにされましたので、その概要を以下に記載します。
*: 事業再構築補助金の金額は、通常は、中小企業について100万円~6,000万円、中堅企業について100万円~8,000万円とされていますが、「中小企業卒業枠」又は「中堅企業グローバルV字回復枠」として採択された場合は上限が1億円まで増額されます。但し、前者は100社限定、後者は400社限定とされています。
1.「中小企業卒業枠」の定義及び要件
中小企業卒業枠とは、事業再構築により、事業計画期間終了までに大企業等(中小企業等以外の企業等)に成長することを目指す中小企業等を対象とした特別枠をいい、採択枠は400社に限定されているものの、無事に採択された場合には、事業再構築補助金の上限額が通常の6,000万円から1億円まで増額されます。
中小企業卒業枠に採択されるためには、以下の要件を満たすことが必要です。
2.「中堅企業グローバルV字回復枠卒業枠」の定義及び要件
中堅企業グローバルV字回復枠卒業枠とは、新型コロナウイルス感染症によりその事業に大きな影響を受けているが、事業再構築により、事業計画期間終了までにグローバル展開により事業の大幅な回復を目指す中堅企業等を対象とした特別枠をいい、採択枠は100社に限定されているものの、無事に採択された場合には、事業再構築補助金の上限額が通常の8,000万円から1億円まで増額されます。
中堅企業グローバルV字回復枠卒業枠に採択されるためには、以下の要件を満たすことが必要です。